猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
「なーんだ、向こうも相当なダメージだったのね」
「ひな?なんで笑ってるの?」
「だってー、私達兄妹だなぁって思ったのよ、自分に嘘がつけなくて損するところ、パパに似てるわよね?」
「日向」
おじさまが瞳を細めて苦笑いした。
「さて、どうしよう?」
「美桜、すまないが榊さんのご自宅を教えてくれないか?」
「えっ?」
「ははっ、平手打ちくらいされるだろうが覚悟はできてるよ、大丈夫だ」
いえ、おじさまはわかってません。
平手なんて軽いものじゃすまないかも。
「じゃあ、これから私はハワイへ行くわ」
「ひな?」
「ママにこの事実を他人から聞かせる訳にいかないわ」
おじさまが反論する前に日向は右手を上げた。
「勿論、パパからなんて酷だからね!どうせ今日から三日オフだったし、その後ニューヨークで撮影だから」
「わかった。志都果のこと頼むな」
「任せて!だからパパはみおを連れてって」
「え!どうして?私は無理よ」
「パパ一人じゃ不安だし」
「私はだいじょ……いやっ!美桜が一緒に来てくれたら助かるよ」
娘からの物凄い睨みのアイコンタクトを受ければ、東堂は言うことを聞くしかない。
「ひな、絢士さんと私の事は今さらどうにもならないのよ。彼がこの事実を受け入れたとしても、私が麻生な事は変わらないのだから……」
「そうかも知れないけど……それとは別に突然顔も知らなかった父親が現れたら、誰だって動揺して誰かの支えが必要になるでしょう?」
「そうだな。美桜、私からも頼むよ」
「わかりました、お供します」
美桜は渋々承諾した。
そのまま日向はハワイへ、おじさまと私は絢士さんのお母様みゆきさんのお店へそれぞれ向かうことになった。