猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
美桜と東堂は、絢士が向かったと教えてもらった村の外れにある廃墟のお城へ東堂の運転するレンタカーで向かっている。
美桜は東堂から預かった手紙をもう一度読んだ。
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絢士へ
絢士、ここアイルランドは気に入った?
お城の探検はもう済んだかな?
ここを去るとき、お母さんは人生で最も素晴らしい時間を過ごしたと思ったけれど、それはあなたとの時間を知る前のことだったと、今ならはっきり言えるわ。
真実を知ったあなたがどんな風に思い、考えているのかを想像すると胸が痛みます。
だから、私の気持ちを正直に話します。
お母さんはこの地で運命の人に出会い恋に落ちました。
そう、あなたのお父さんよ。
彼とのことを後悔した事は一度もありません。
騙された訳でもないし、逃げ出したつもりもない。
私は彼に出会い幸せだったから、
それだけでいい、それ以上はいらないと思ったの。
あなたに寂しい思いをさせてしまったことは謝ります。
ごめんね、絢士、本当にごめんなさい
わかって欲しいのは、
あなたのお父さんは、あなたの存在を知れば必ず愛してくれるだろうということ。
知って欲しいのは、
あなたがお腹にいるとわかった時、私はとても幸せな気持ちになったこと。
覚えていて欲しいのは、
そばにいなくても、あなたを息子として誇りに思っていること。
見つけて欲しいのは、
あなたを楽しい気持ちにしてくれる仕事。
探して欲しいのは、
あなたを幸せな気持ちにしてくれる人。
きっとあなたならわかってくれるよね?
もし、お父さんの事を知りたいと思ったら、イアンさんとディリアさんに聞きなさい。
自分と似ている所が多くて驚くはずよ。
三歳の今ですら、似ている所が沢山だもの。
絢士、どうか幸せになって。
お母さんはいつでもあなたを見守っています。
綾乃
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