猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
健全なデート②
残りの二問もお互いの事を話ながら、時折ふざけたりして問題を解いて植物園の中を回り終えた。
受け付けに戻って、地図を見せるとなんと全問正解していた。
『おめでとうございます』と渡された今回のご褒美は薔薇の苗だった。
渡してくれた職員の人が、『何色が咲くのかはお楽しみだけど、お二人には奇跡がおきるかもよ』なんて言って、意味深な笑顔をされた。
ピンクだったらいいのに。
美桜は帰ったら勇蔵さんにお願いして中庭に植えてもらおうと決めた。
『食事に行こう』と絢士は一番長く続けたイタリアレストランに美桜を連れてきた。
「素敵なお店」
美桜は店内を見て微笑んだ。
古くてこじんまりとしたお店だけれど、床はピカピカに磨かれていて清潔で隅々まできちんと掃除が行き届いているのがわかる。
テーブルには赤のブロックチェックのテーブルクロスとブルーの小ぶりな花瓶にガーベラが一本。
壁にはフィレンツェの町並みの絵画と所々に子供が描いた絵も飾られている。
アンティークではないけれど、ここにある家具には、美桜の大好きな大事にされてきたモノが放つ温かみがある。
このお店は気さくで楽しげで、そう、キッチンアカシヤにもある他人をくつろがせる雰囲気が満載だ。