猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
絢士と部下の神宮寺は次回の催事の為、北海道の出店先を探しに来ていた。
一泊二日の強行手段でなんとか契約をまとめあげた。
新しく見つけたチーズケーキの店は今回の目玉になるだろう。
帰りのフライトまで時間ができたので、絢士は途中見かけた、小さなアンティークショップに寄ってから空港へ行こうとすると神宮寺もついてきた。
「それ、彼女さんにですか?」
「はあ?」
神宮寺のにやけた顔に、絢士は渋い顔をしてみせた。
手にした羊のオルゴールから流れ出したのは、絢士の好きなオーバザレインボー。
「出張の度にそうして可愛らしいものを選んでいるんですから、さすがに誰だって気づきますよ。僕、その噂の真相を教えろって、社の女性何人に聞かれたことか」
「ふんっ、くだらない」
絢士は羊を持って、別の棚に並んでいた小人の一人を手に取った。
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
絢士が何も言わないので、神宮寺は怯むことなく質問をぶつけた。
「なんでいつも怒ってる小人を選ぶんです?っていうか、いつも小人探してますよね?それを欲しがる彼女さんて、どんな人で、何をしてる人ですか?」
「一つじゃなかったのかよ」
「えっ?それは……」
いくつだろうが答えるつもりないけど、と絢士は内心で答えた。