猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
ベッドに優しく下ろされると、ネクタイを緩めながら彼が近づいてくる
「あっ、シャワーを……」
「後でいい」
ブラウスのボタンを外されている間、彼の唇は私の唇から耳へ移動して耳朶を軽く食み首筋へと下りていく。
「んっ……」
甘い吐息がこぼれる場所を確かめるように
何度も執拗に攻められる。
部屋中に濃密な甘い空気が充満して二人を包み込んで
気づいたら自分の手は彼を求め急き立てるようにネクタイを抜き取り、ワイシャツのボタンを外していた。
初めてではない
でもこんなに自分から欲しい、
触りたいと思うのは初めて
「美桜」
手を引かれて起こされるとブラウスが剥ぎ取られる。
彼が息を飲んで手を止めたので美桜は不安になって彼を見た。
「これは卑怯だ」
絢士が小さく呟いた。
「え?なに?」
「気にしないでくれ、いま包みを開けた時の喜びを噛み締めてるんだ」
美桜は恐る恐る彼が崇めるように見ている自分の身体を見下ろした。
部屋の間接照明に照らされて、ピンク色に上気した白い肌が服に合わせて選んだ藤色のレースの下着に透けている
どうしよう……
嘘みたいだけれど、クスクス笑いが込み上げてきた。
これまでベッドの中でこんなに楽しい気持ちになった記憶はない。
「幸せな記憶のギフトになった?」
「俺としては次もそうなるようにしてくれるのは、一向に構わないと言っておくよ」
美桜は声を上げて笑った。
「次までに花菱デパートへ行ってくるわ」
「見た目が素敵な親友のヒナタさんに頼むのもいいんじゃないかな?俺の希望を添えてさ」
「もうっ!」
ああ、どうしよう
本当にこの人が大好きだ
どんな不安も全部安心に変えてくれる
絢士さんがいてくれたらきっと毎日幸せに笑っていられる。
美桜の笑顔を見て絢士も心から満足の笑みをした。