猫と宝石トリロジー①サファイアの真実
新たな冒険
榊 絢士はデスクの後ろの窓から外を眺めた
夏の終わりに、あの通りに行かなければ今の俺はどうしていただろうか?
偶然見つけた宝物を思うと、絢士の口角が自然と上がる。
あの日から三ヶ月が過ぎた
新たな彼女を知る度により深く惹かれていく。
まだ早い気もするが先に進むのならば、話しておくべきだろう
彼女は俺を受け入れてくれるだろうか?
ふと絢士の心に不安の闇が射した。
お互いの事を知っているようで、実は何もわかっていないような気がした
馬鹿な、そんなはずはない!
現に彼女は、昨夜の美桜は……
絢士は、にやけそうになる口元を慌てて引き締めた。
昨日、彼女の店先で入れ違いになった東堂ヒナタは、
『あなたの希望に沿ったつもりよ』そう言って意味深な笑顔を俺に向けて帰って行った。
俺の希望?
何の事かわからず、ましてそんなものを話した覚えはなかったんだが。
間違いない。
彼女は完璧に理解していたと言えるだろうな
どこかでやってる女性の秘密情報会議も時には悪くない
知らずにまた、絢士の顔が緩んでいく。
彼女のパリ土産は俺の希望と言うより、男の夢そのものだった。
美桜の真っ白な肌に赤のレースは……