約束の恋

「でも、忘れてるかもしれないじゃん...。」

あたしの頭は、悪いほうへしか考えられなかった。

「じゃぁ、行かないつもり?」

「それは...。」

多毅にぃのその質問に、あたしは止まった。

「希望が行かなくて、そいつだけが来てたらそいつはどうなる?」

「えっ...。」

「そいつがかわいそうじゃん?希望は待ってたんだろ?約束した1年前からずっと。」

あたしは何もいえなかった。

「行けよ。”来ないかも”なんて考えるな。もし本当にそいつが来なかったとしても、お前は行ったんだから後悔しないだろ?」

多毅にぃの言葉は、あたしの心にスーって入ってきた。

「うん...。あたし、行く。」

「よし!それでOK!希望はこうでなきゃな。」

多毅にぃと咲智に背中を押され、あたしは行くことを決めた。


明日。

君は来ないかもしれない。

それでも、あたしは行くよ。

君に会えると信じて。

だって、君と約束したから。


< 31 / 72 >

この作品をシェア

pagetop