RUBY EYE

血のように赤い目で、桜太の首を絞めた十夜。


「私を助けてくれたのに、怖いと思ったの」

「それが普通の反応だ」


手を離そうとする十夜を、月野は力いっぱい握り締めて、逃がさない。


「ヴァンパイアとか、そういうのは、まだ良くわからない。でも、綾織くんは綾織くんだもの」

「月野・・・・・・」

「助けてくれて、ありがとう」


そう、言わなきゃいけないのは、この一言。

怖いとか、そういうのは後回しだ。


「・・・・・・月野。あいつに、何もされなかったか?」


シャツを切られ、素肌を晒されたあの状況。

何かされたと考える方が、自然だ。


「何も・・・・・・あ」

「何かされたのか?」


言い淀む月野に、十夜が顔を近づける。


「えっと、その・・・・・・キス、された、かな」


視線を泳がせて、月野は自分の口元を隠す。


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