RUBY EYE
「キス?」
「まぁ、大したことじゃないよね」
傷も残らないし、うがいをたくさんしたから。
「キス、されたのか?」
「う、うん」
そんなに何度も聞かないで。
やっぱり女の子だし、初めてのキスがあんな形で終わったのは、ちょっと不本意だけど。
キスだけで済んだんだ。
それを喜ばないと。
「・・・・・・」
「・・・・・・月野」
「何? ―――あ」
顔を向けた瞬間、十夜と唇が重なっていた。
形の良い十夜の唇と、自分の唇が触れている。
「!!!」
驚きすぎて、声も出ない。
目も開けたままで、間近にある十夜の顔が、よく見える。
長い睫毛に、きめ細やかな肌。
「目、閉じて」
「ん・・・・・・」
言われるがまま、月野は目を閉じた。
十夜がぺろっと唇を軽く舐めるから、月野は驚いて口を開けてしまった。