RUBY EYE
鷹斗を見送り、月野と十夜は駅へと足を向けた。
電車の中で、ふたりは無言のまま。
月野は流れていく景色を眺めながら、考えていた。
ここから逃げ出す。
この危険な場所から。
(・・・・・・どうして、悩むんだろう?)
美鶴が気になるから?
それもあるけど、他にも気になることが―――ある?
月野は横目で、隣に座る十夜を見た。
あのキスが夢だったかのように、お互いいつも通り。
彼の真意はわからない。
(妙に慣れてたような・・・・・・)
初心者の月野と違い、十夜は経験者だったのだろうか?
「・・・・・・降りるぞ」
「え? でも、まだ・・・・・・」
戸惑う月野の手を引き、十夜は電車を降りる。
海が近いのかもしれない。
潮の香りがする。
「ど、どこに行くの?」