RUBY EYE

今の十夜の瞳は、深い夜色。

月野は歩み寄り、ジッと瞳を見つめた。


「月野?」

「みんな、赤くなるものなの?」

「吸血衝動や、感情が高ぶったりすると、赤くなる」


十夜は距離を開こうとしたが、すぐ後ろは海。

動けぬまま、十夜は月野の視線を受け止めていた。


「ルビーみたいだった」

「あぁ、ルビーアイとも言うし、間違いじゃないな」

「・・・・・・」


月野は何を思ったのか、十夜の体を軽く押した。


「!?」


咄嗟にバランスを取れず、十夜はまだ冷たい海に、倒れ込んでしまった。


「な・・・・・・」

「驚いたら、赤くなるかな、って」


好奇心の命ずるままに動いたが、十夜の瞳は黒いまま。


「お前・・・・・・っ!」

「キャアッ!」


腕を引っ張られ、月野は頭から海に突っ込んだ。


「お返しだ」


十夜は立ち上がり、濡れた髪をかき上げる。


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