RUBY EYE

シーツを小野瀬に突き付けると、彼は苦笑しながら受け取った。


「綺麗に洗濯してるのに、新品のシーツじゃなきゃ嫌なんて。我が儘すぎるわ」

「それは、梨瀬様の事か?」

「他に誰かいますか?」


椿の睨むような視線に、小野瀬は肩を落とす。

椿は仕事も早いし的確だが、こうして気に入らない相手には敵意を剥き出しにする傾向がある。


「美鶴様からのご命令だ。一族が集まる間、月野さんを気がけるように、と」

「そんなこと、言われるまでもないわ。あの無駄にプライドの高い奴らが、月野ちゃんを黙って見てるだけとは思えないもの」

「やれやれ。育て方を間違えたのか・・・・・・これでは淑女とは呼べませんね」


ため息を漏らす小野瀬から、椿はシーツを受け取る。


「さっさと新しいシーツに替えて来るわ、お父様」


ニッコリと笑う椿だが、お父様の言い方に棘がある。


「はぁ、本当に育て方を間違えたようだ」


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