RUBY EYE
音無家
その日は、朝から騒がしかった。
ゴールデンウイークも過ぎ去った後の日曜日。
椿は客間や外の掃除、キッチンで料理の仕度。
小野瀬もそれを手伝いながら、来客を待った。
月野も何か手伝おうとしたのだが、椿に、今日はなるべく部屋から出ないように、と言われた。
「私の親戚、ってことよね?」
日記を綴りながら、月野は窓の外を見た。
客間に飾るための薔薇を選ぶ、椿の姿が見える。
(花村さんは、無駄にプライドが高いって言ってたけど・・・・・・)
話さなくてもいいから、見てみたい気はする。
「月野、入るぞ」
ノックもせずに、十夜が部屋にやって来た。
「綾織くんは、会ったことある? その・・・・・・今日来る人達と」
「あぁ。あまり関わりたくはない人達だな。特に、梨瀬さんとは」
以前、月野が買った新刊を、十夜が返す。
「梨瀬さん?」
「お前の父親―――慧さんの妹だ」