RUBY EYE

「大変みたいね。じゃあ・・・・・・」

「お前の誕生日は?」


自分だけ答えるのは不公平だ。

十夜の言葉に、月野はそれもそうだ、と納得した。


「11月6日。私は、家族揃って食べる誕生日ケーキが好き」

「誕生日ケーキ、か。そんなの、10歳が最後だったな」


小さい頃から甘いものが嫌いだったから、親が見兼ねて、誕生日ケーキを翌年から用意しなくなった。


「じゃあ、趣味は?」

「特にないな。強いて言うなら・・・・・・音楽鑑賞か」


暇な時に、クラシック音楽を聞くことは多い。


十夜は自分のことを語ろうとしないから。

月野は他愛のない会話をしながら、十夜と笑い合っていた。










太陽が徐々に沈みかける頃。

月野は中庭でうずくまる女性を見つけた。


「大丈夫ですか?」


駆け寄ってみれば、とても美しい女性だった。

柔らかな髪と白い肌、大きな瞳。


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