RUBY EYE

「手は大丈夫? かなり大きな音がしていたし、痛むんじゃないかな?」


そう言って、静貴は月野の手を取った。


「あぁ、赤くなってる」


まるで、自分のことのように心配してくれる静貴に、月野は頬を赤らめてしまう。


「綺麗な白い手なのに。・・・・・・可哀相に」


―――チュッ。


赤くなった手の甲に、静貴が慣れた仕草でキスを落とす。


「な、何・・・・・・」


驚いた月野が、咄嗟に手を引っ込めた。


「あぁ、ごめんね。いきなりこんなことをしたら、驚くよね」

「い、いえ・・・・・・」


キスされた手の甲が熱くて、月野は戸惑う。

この人からは、今のところ恐怖は感じない。


「何日かはここに泊まるから、その間に是非とも、仲良くなりたいな」

「は、はぁ」


何と言えばいいのか。

優しいその笑顔と雰囲気に、たらしこまれそう。


< 138 / 403 >

この作品をシェア

pagetop