RUBY EYE
何を仕出かすか、予想するのが難しい。
「ふぅ・・・・・・。慧、お前がいれば―――いいえ、仮定の未来など、口にするだけ無意味ね」
美鶴は席を立ち、暗闇で咲き誇る薔薇達を、見つめ続けた。
「おはよう、月野ちゃん」
「・・・・・・おはようございます」
玄関で、静貴と出くわした。
月野が軽く頭を下げると、静貴は苦笑する。
「警戒してる? 安心していいよ。何もしないから」
「はぁ」
水色のセーターと白のパンツ姿は、実に爽やかだ。
「制服かぁ、懐かしいな」
「同じ高校なんですか?」
「そうだよ。紅玉館には住んでなかったけど」
懐かしそうに制服を見つめる静貴が、視線を感じて振り返る。
「おはよう、十夜くん」
「おはようございます」
心なしか、十夜の声が冷たい。
月野は十夜と目が合い、緊張した面持ちでいた。