RUBY EYE
「へぇ、十夜くんが隣の部屋か」
興味深そうに、静貴は2階へ続く階段を見つめた。
昼休みになると、決まって鷹斗と愛理が昼食に誘いに来る。
「梨瀬さんが来たのか。俺、あの人苦手なんだよな」
鷹斗はペットボトルの炭酸を飲みながら、苦笑いを浮かべる。
「そう? 私は憧れるわ。品位も知性もあって、ヴァンパイアとしての誇りも持ち合わせてる」
愛理の言葉に、月野は昨日の出来事を思い出す。
【触らないでっ。汚らわしい!】
あれは、ヴァンパイアの誇りがあるからこそ出た言葉なのだろうか?
「月野ちゃん、暗いね? 慰めてあげようか?」
「・・・・・・いらない」
月野はため息を漏らし、鷹斗から視線を外す。
「じゃあ、月野ちゃんが興味を抱くような話をしようかな」
「・・・・・・?」
何故か月野との距離を詰める鷹斗に、十夜が眉間に皺を寄せた。