RUBY EYE
「お前はあっち。愛理、愛しの許婚くんを捕まえてろ」
「あんた、私のこと馬鹿にしてんの?」
睨む愛理に背を向けて、鷹斗が月野に囁く。
「天城 桜太、知ってるよな?」
「!」
その名前を聞いた瞬間、月野が鷹斗を見た。
忘れもしない。
自分を襲った、金色の髪の少年。
「あいつ今、俺の家が預かってるんだ」
「預かってるってことは、無事、なの?」
「少なくとも、今はな」
鷹斗は微笑みながら話すが、月野は安心できない。
「・・・・・・どうなるの?」
「運が良ければ、折檻だけで済む。悪ければ―――死ぬ」
「っ!」
笑顔のまま、鷹斗は告げた。
まるで、当然のことのように。
「死ぬって、どうにかできないの?」
「まだ、そうと決まったわけじゃない。何かあれば、また知らせる」
鷹斗は月野から離れ、十夜を振り返り笑ってみせた。