RUBY EYE
「十夜から聞いたけど、今、静貴さんも来てるらしいわよ」
「マジかよ。あの人絶対、腹黒いよな」
「それには同意」
愛理と鷹斗の話を聞きながら、月野は先程の話を思い出す。
ヴァンパイアの世界は、月野が思う以上に残忍で冷酷。
そんな世界の中で育つ彼等も、やはり―――。
(ううん、違う。でも・・・・・・)
月野はよく知っている。
優しさの裏に隠れた、冷たいヴァンパイアの本質を。
父でさえも、容易に自分の家族を切り捨てたのだ。
「月野、顔色が悪いな」
「え? あ、大丈夫・・・・・・」
心配してくれる十夜に笑いかけ、月野は頭の中を埋め尽くす、嫌な考えを振り払った。
眠れなくて、月野はキッチンで水を飲む。
いろんな事を考えすぎて疲れているのに、眠れない。
「こんばんは」
「あ、こんばんは」