RUBY EYE
現れた静貴に、月野は思わず身構える。
昼間は何とも思わない笑顔も、みんなが寝静まった夜の中で見ると、僅かな恐怖が滲む。
美鶴も十夜もみんな、夜が似合う。
それはやっぱり、ヴァンパイアだから?
「眠れないの?」
「音無さん、は・・・・・・どうしたんですか?」
自分と同じ名字を呼ぶのは、変な感覚。
「静貴でいいよ。僕も眠れなくて」
コップに水を注ぎ、ごくごくと飲み干していく。
「私、もう部屋に・・・・・・」
「君は、ダンピールだよね?」
立ち去ろうとする月野を、静貴の穏やかな声が呼び止める。
「奇跡とも呼べる自分の存在を、君はどう思う?」
静貴の雰囲気が、変わった。
そこに、浦部や桜太に感じた恐怖はない。
ただ、誘い込むような甘美で妖しい雰囲気を、感じる。
「・・・・・・」
「聞いただろう? ダンピールは生まれてもすぐに死んでしまう。僕自身、本物のダンピールを見たのは初めてなんだ」