RUBY EYE
おそらくは、美鶴でさえも初めて目にしたであろうダンピール。
「愛した人間がいても、子を生せない。だから、血を飲ませてヴァンパイアにするんだ」
でも、君の父親はそれを選ばなかった。
静貴が、月野の頬に触れる。
男の人の手だけれど、なめらかで気持ちの良い手。
「君は、とても良い香りがするよ」
「香り・・・・・・?」
静貴は離れ、新しいグラスとワインを取り出す。
グラスに注がれるワインは、血みたいに赤い。
「わからない? 君は処女だよね?」
「な・・・・・・!」
無遠慮な質問に、月野は言葉に詰まる。
「処女の血は美味しい、ヴァンパイアの間では常識だ。君はしかも、ダンピール」
ワインが、渇いた喉を潤すように、飲み干されていく。
「その血を狙う者は、多いよ。既に、経験しているよね?」
月野を追い詰めるような、静貴の言葉。