RUBY EYE
狂言と虚言、そして真実。
それらを巧みに操って、静貴はその反応を見て楽しむのだ。
「私って、匂うの・・・・・・?」
「そうね。とても良く、香るわ」
でも、美鶴は欲しいと思わない。
美鶴が欲しいのは、この小さく柔らかな手が与えてくれる、救いだけ。
「お眠りなさい」
「・・・・・・はい・・・・・・」
月野が眠るまでの間、美鶴はずっと手を繋いでいた。
そういえば、慧は良く手を繋ぎたがった。
夫と自分の間に立って、楽しげに繋いだ手を揺らしていた。
「・・・・・・おやすみなさい」
月野の髪を優しく撫でて、美鶴は部屋を出ていった。
まだ眠い頭で、月野はベッドから起き上がる。
頭の中で、静貴の言葉が響いてる。
【彼は、君が欲しくてたまらないんだ】
静貴の言うことが本当だとしたら、確かに残酷だ。
そして―――怖いと思う。