RUBY EYE
「ねぇ、大丈夫? あんた、揺れてるわよ?」
「だ、だいじょう・・・・・・ぶ」
だと思ったのに、月野は倒れ込んでしまった。
あぁ、トイレから出ていて良かった。
いくら体調が悪くても、トイレの床には倒れたくないから。
「ちょ、ちょっと! ・・・・・・つ、月野っ?」
あ、初めて名前呼んでくれた。
でも今は、意識が遠のいていく―――。
体温計が示したのは、38度という数字。
倒れた月野を屋敷まで運んだ十夜は、汗をかいて苦しげに息をする彼女を、心配そうに見つめていた。
ヴァンパイアは、普通の人間より頑丈だから、あまり病気にならない。
「十夜、あんまり傍にいない方がいいわよ?」
新しい氷枕を持って来た椿が、十夜を気にして声をかける。
「移ったりしない」
「そういうことじゃないわ。月野ちゃん、今すごく汗をかいてるから」