RUBY EYE
逃げ出したいと思いながらも、怖いと思いながらも、月野は決して、美鶴や十夜達に背を向けたりせず、受け入れようとした。
椿の瞳が、真紅に色づく。
アイスピックに、静貴の小さな血の粒が伝う。
「喉を突き刺しても、殺せないよ。ダンピールなら、話は別だけど」
「・・・・・・口の減らない男ね」
つまらなそうに、椿がアイスピックを喉元から離す。
瞳から、赤が消えていく。
「あの子は一年―――ううん、一年もいないかもしれない。傷つけるなんて、許さない。ダンピールだろうと何だろうと、あの子が女の子であることに、変わりはないんだから」
うっすら血の滲む喉元だが、すぐに傷は塞がった。
「覚えておくよ」
静貴は真意の読めない笑みを浮かべて、キッチンを出ていた。
「・・・・・・嫌な味」
アイスピックに付いた血を舐めて、椿は忌ま忌ましげに呟いた。