RUBY EYE
甘い香りに、理性がぐらつく。
汗で濡れる肌が煽情的で、ゴクリと喉が鳴る。
荒い呼吸に合わせて、胸の膨らみが揺れる。
「―――ッ」
限界かもしれない。
十夜は立ち上がろうとする。
「・・・・・・行かないで・・・・・・」
立ち上がろうとした十夜の手に、熱い月野の手が触れた。
「起きたのか?」
渇きを悟られまいと、十夜は冷静さを装う。
「・・・・・・ごめんなさい」
「?」
「私、匂うんでしょう・・・・・・?」
言葉の意味するところを知って、十夜は戸惑う。
「ごめんなさい・・・・・・。でも、私・・・・・・綾織くんに、傍にいて欲しい・・・・・・」
この感情がどういうものか、月野にはまだ、わからない。
熱でうなされて、思わず口走ってしまっただけなのか。
「当たり前だろ。守るって約束したんだ。傍にいる」
月野の手を握り返し、十夜は微笑む。