RUBY EYE
理性の裏側で、本能がざわめく。
それを必死に、押さえ込む。
「でも、どうしても無理な時は言ってね? ・・・・・・・私、離れるから」
にっこり微笑み、月野は再び眠りについた。
「・・・・・・月野」
唇を重ねると、月野の熱い吐息が体中を駆け巡った。
このまま、この白い首筋に顔を埋めて、牙を立てれば―――。
「・・・・・・傍にいる」
十夜は頭を振り、月野の手をしっかりと握りしめた。
「椿」
「何?」
キッチンで氷を砕く椿に、小野瀬が声をかける。
時刻はもう、日付が変わる頃。
「あまり、静貴様に構うものじゃない。あの人は特殊だ、伊織様と同じように」
アイスピックを慣れた手つきで扱いながら、氷を砕いていく。
「私は、気に入らない奴は気に入らない。たとえ、同族であったとしても」