RUBY EYE
ぬくもり
梨瀬達が紅玉館を出てから―――暦は6月を迎えた。
梅雨時期ということもあり、最近は傘が手放せない。
「そういえば、静貴様が近くに住みはじめたとか」
洗い物をしながら、椿は風呂上がりの一杯を飲む十夜をチラリと見る。
「俺には関係ない」
「そ。まぁ、最近は月野ちゃんとも仲がいいみたいだし。お姉さん、応援するわよ?」
嫌な笑みを浮かべる椿を、十夜は軽く無視する。
「可愛いげないわねぇ」
頬を赤らめるとかしなさいよっ。
椿はぶつぶつ文句を言いながら、洗い物を終わらせようとスピードを上げた。
(応援するって、何を応援するんだ?)
とりあえず、椿の妙なテンションに付き合えないと悟り、十夜は逃げてきたが。
(それにしても、静貴さんが近くにって・・・・・・)
関係ないと言いはしたものの、やはり気になる。