RUBY EYE

「それだけ?」


頷く鷹斗に、月野は拍子抜けしてしまう。

遊びに行くだけなら、さして難題でもない。


「ただし、月野ちゃんひとりで」

「私、ひとり?」

「そう。十夜も誰も連れて来ない。それが条件」


愛理が言っていた言葉を思い出す。

【鷹斗を信用しない方がいい】


「別にいいよ。あのガキのこと、月野ちゃんが心配する必要ないんだから」

「・・・・・・」


怖い思いもした。

ファーストキスも奪われた。

月野が気にかける必要なんて、ありはしない。


「これ、俺の家の住所。しばらくは、まともに家にいるから」


メモを渡して、鷹斗は走り去る。

雨が強くなって、鷹斗の足音が聞こえなくなっていく。


「月野、待たせたな」

「う、うん」


慌てて、月野はメモをポケットに隠した。

十夜が知ったら、絶対に認めないと思うから。


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