RUBY EYE
月野は視線を逸らし、ナイフを握りしめる。
「小野瀬さんが使ってたものなのよ」
「小野瀬さんが?」
着替え終わった椿は、月野を手招きしてベッドに座らせた。
「とても大切なものよ」
「じゃあ・・・・・・」
「だからこそ、月野ちゃんのお守りになるのよ」
椿は微笑むと、月野の髪を優しく撫でた。
「そういえば、鷹斗の家で何してきたの?」
「あ、それは・・・・・・」
月野は躊躇ったが、椿には相談にものってくれたし、素直に話すことにした。
「・・・・・・」
「花村さん?」
「そういう誘うようなことしちゃ、ダメよぉ」
嘆きのこもった言葉に、月野はおろおろしだす。
まずいことをしてしまったのだろうか?
「いくらなんでも、健全な男の子を抱きしめたりしちゃダメ! 絶対、ダメ!!」
「は、はぁ・・・・・・」
あの時は、あれが1番いい方法だと思ったのだが。