RUBY EYE
前から気になっていた。
お守りとは、なんなのだろう?
「これ。小野瀬さんも使ってた大切なものだ、って花村さんが」
月野が取り出したナイフを見て、十夜は眉間に深く皺を刻む。
「お前がそんなもの持つなんて」
「お守りだわ。使わないに越したこと、ないんだろうけど」
ここにいる限り、使わない、とは言い切れない。
「お前は、俺に守られていればいい。お前が手を汚すところは、見たくない」
「大袈裟・・・・・・でも、ないか」
月野はナイフを机に置いて、十夜に背を向ける。
自分は十夜に頼りすぎている。
でも、月野ひとりになれば、一瞬で闇に引きずり込まれるだろう。
「・・・・・・」
「月野、そんな顔をするな。椿に安心させてやれって言われたけど、ダメだな」
女性の扱い方は、よくわからない。
鷹斗なら、もっと上手い言葉を言えるのだろうが。