RUBY EYE

「無理して起きるな」


腕を引かれ、月野は十夜の胸の中にすっぽりと収まってしまった。


「あ、綾織くん。・・・・・・気分はどう?」

「悪くない。むしろ、良い」


そう言いながら、十夜は月野をしっかりと抱きしめて離さない。


(うっ・・・・・・ドキドキする)


赤くなった顔を見られないよう、月野はタオルケットで隠す。


「なんで顔を隠すんだ?」

「それは、えっと・・・・・・恥ずかしいから」


本当は、今すぐベッドから飛び降りたい気分だが、貧血でそれは難しい。


「恥ずかしい?」

「この状態が、その・・・・・・恥ずかしいの、とても」


平然としているが、十夜は何も感じないのだろうか?


「そうか? 俺は、落ち着く。お前は柔らかいし、良い匂いがするから」

「や、柔らかい?!」


どこが柔らかいという話?

胸?

もしかして、お腹??


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