RUBY EYE

どちらにせよ、恥ずかしいことに変わりはない。


「十夜、学校は?」

「・・・・・・行く」


不意に聞こえた椿の声に、月野は慌てて視線を移す。

いつからいたのか、部屋の入口で笑みを浮かべている。


「あ、私も・・・・・・」

「月野ちゃんは、今日はお休み。ゆっくり寝てなさい」


起きようとした月野を、椿がやんわりとベッドに押し戻す。

その間に、十夜は制服に着替え終わっていた。


「朝食を後で持ってきてあげるわ」


椿が部屋を出ていくと、十夜と視線が合った。


「自分の部屋に戻った方が・・・・・・」

「ここにいろ。行ってくる」


ひとりきりになった月野は、十夜の部屋を観察してみた。

必要最低限の物しか置かれていない部屋。

本棚には、本に混じってクラシック音楽のCDが並べられている。


(綾織くんの匂いがする・・・・・・)


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