RUBY EYE
ほんのり顔を赤らめて、月野は瞳を閉じた。
「あの子の匂いがするわ」
昼休み、愛理が唐突に呟いた。
「血を飲んだの?」
「・・・・・・あぁ」
鷹斗も気づいているだろうに、何も言おうとしない。
「どうして? 血が必要なら、私を呼べばいいじゃない」
「・・・・・・悪い」
十夜は視線を外し、愛理の元から去ってしまう。
「・・・・・・」
「泣いてるのか?」
ペットボトルに口をつけながら、鷹斗が問いかける。
「泣いてないっ。あんたはいいの? あの子、十夜に血を飲ませたのよ」
「多少はムカつく」
「なら・・・・・・」
「でも、月野ちゃんが決めたことなら、俺達が何を言っても意味ないだろ?」
昨日の話は聞いている。
紅玉館に咎堕ちが数名襲撃した、と。
十夜が自分から血を飲ませてと言わないことぐらい、鷹斗も愛理も知っている。