RUBY EYE
月野も、無意味に血を飲ませたりしないだろう。
「やむにやまれぬ状況、だったんだろ?」
「随分と余裕なのね」
「まさか。けど、1番大事なのは彼女の気持ちだ。彼女が俺を選ばなくたって、笑ってるなら、それでいい」
十夜じゃないが、自分は自分らしく、月野を守れればいいと思う。
「何よそれ。私は・・・・・・十夜の許婚だもの」
「お前は許婚にこだわりすぎるんだよ」
愛理の頭を軽く叩いて、鷹斗は教室へ戻る。
「・・・・・・あんたにはわかんないわよ、私の気持ちなんか」
愛理は唇を噛み締めて、その場に立ち尽くしていた。
紅玉館に帰ると、椿が銀色のトレーを持って出迎えた。
「あら、お帰り」
「ただいま。なんだ、それ?」
トレーの上には、切り分けられたフルーツと、暖かい紅茶。
「月野ちゃんに持って行くのよ。あ、ついでだし、あんたに頼むわ」