RUBY EYE
夜の海
7月の半ば頃。
明日から夏休みという、暑い午前のこと。
「海へ行こう!」
「今からか?」
十夜が呆れたように聞き返す。
体育館では終業式が行われているが、参加したくないと、鷹斗が月野や十夜、愛理を連れ出した。
「夏休み始まってすぐに遊びに行くのはどうだろう?」
夏休みの課題はたくさん出るし、できれば7月中に半分は終わらせてしまいたい月野。
「それに、俺は人混みは嫌いだ」
出てくる意見の全てが否定的。
鷹斗はうなだれてしまう。
「お前らなぁ・・・・・・」
「私はいいと思う」
黙っていた愛理が、唯一、賛同してくれた。
「うちの別荘なら、プライベートビーチがあるから、人は来ないでしょ」
「・・・・・・好きにしろ」
十夜は諦めて、分厚い本に視線を落とした。
「あんたも参加するのよ。水着は持ってるわよね?」