RUBY EYE
「・・・・・・月野のこと、好きでしょ?」
立ち止まる十夜に、愛理は涙を堪えて話しかける。
「見ればわかる。十夜、あの子を見る目が優しいもん。私を見る目と、違う」
「・・・・・・お前は、月野が嫌いか?」
十夜の問いに、愛理が苦笑する。
「嫌い。あの子、オシャレに興味ないし、本ばっか読んでるし。女として、私の方が上なのに・・・・・・」
「・・・・・・」
「あんな優しい子、大嫌い・・・・・・」
嫌い、大嫌いが、好き、大好きに聞こえる。
本当は、月野のことを友達だと思ってる。
月野に嫉妬する自分が嫌。
でも、月野はいつだって無垢で綺麗だから、嫌いになれない。
「そうか」
愛理の心内を察した十夜は、それだけ言って、別荘に戻った。
ひとりになった愛理は、我慢していた涙を流し、声を上げて泣いた。
十夜が自分を“女”として見ていないことくらい、知っていた。