RUBY EYE

この恋には、始めから先が見えていた。

十夜は誰も愛さないのかもしれない。

それが少し嬉しくて、同時に悲しかった。


好きな人が、誰も愛せないのは、辛い。

でも、月野が来て、十夜や鷹斗、そして愛理の心に変化が訪れた。

それは、まさしく運命が変わった瞬間だったのだと思う。


「泣くだけ泣いたっ」


愛理は立ち上がった。

好きな人に、好きな人ができた。

悔しいけど、応援したい。

まだ、素直には応援できないかもしれないけど。


愛理は顔を上げ、洞窟を出た。

夜だというのに、月明かりに照らされると、不思議と心が落ち着く気がした。










波の音が子守唄のように響く真夜中。

十夜と鷹斗は、眠らずに天井を見つめていた。

先に沈黙を破ったのは、鷹斗だった。


「お前なら気づいてるだろ? 浦部―――咎堕ちのこと」


鷹斗は、逃げ出した咎堕ちが不自然だ、と言う。


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