RUBY EYE
浦部はまだしも、何故、逃げ出した咎堕ちのすべてが、紅玉館を襲ったのか。
そもそも、何故、咎堕ちは逃げ出すことができたのか。
「十夜・・・・・・」
「わかってる。何かが、動き出してる―――」
そんな気がした。
加速する運命の輪は、最早、自ら止まることは叶わない。
十夜は目を閉じ、波の音に耳を傾けた。
同じ頃、月野と愛理もまた、眠れずにいた。
「桐条さん、寝た?」
「寝た」
愛理の素っ気ない返事に、月野は小さく息をつく。
戻ってきてからの愛理は、なんだか冷たい。
「―――愛理」
「え?」
「桐条さんじゃなくて、愛理って呼びなさい。私も・・・・・・月野、って呼ぶから」
月野は体を起こし、背を向けて横になる愛理を見た。
「・・・・・・桐条さん」
嫌われてると思った。
月野が嬉しくて笑うと、愛理は恥ずかしそうに呟く。