RUBY EYE
美鶴から聞いていた、伊織が綾織本家へ出入りしている話。
しかし、咎堕ちと関係があると断定するのは早計だと思っていた。
「近頃、伊織さんが出入りしているのですが、場所が―――“檻”なんです」
檻とは、咎堕ちを閉じ込めるための牢だ。
地下牢も存在しており、幾人かの咎堕ちが捕らえてある。
「まさか、中へ入れたのか?」
「いえ、入れてません。ただ、手引をした者がいると」
秦の話を聞いていた十夜は、気配を感じて襖に視線を向けた。
「帰っているのなら、顔を見せたらどうだ?」
「・・・・・・父上」
襖を開け見えたのは、父親の顔だった。
綾織家当主にして、十夜の父・綾織 時臣。
着物を纏い、厳格さを漂わせる時臣は、秦に目配せをする。
「・・・・・・失礼します」
秦は一礼すると、部屋を出ていく。
ふたりになると、十夜は微かに眉間が険しくなる。