RUBY EYE
「・・・・・・血は飲んでいますか?」
朔の問い掛けに、十夜は目を伏せた。
月野の血を一度飲んだだけで、あれ以来、口にしていない。
「十夜。血を飲まねば死ぬのです。本来の力も出せません。・・・・・・お前の気持ちもわかりますが、私は心配でならないわ」
「・・・・・・申し訳ないです」
「愛理さんから、血をいただいては?」
朔の提案に、十夜は首を振る。
「秦から聞きましたが、紅玉館が襲撃された時、かなり危険だったとか」
「それは・・・・・・」
「その時、血を飲んだのでしょう? 名前は確か―――月野。そう、音無 月野さんね」
朔は微笑み、十夜の手を取った。
朔の手は冷たく、十夜の手も冷たい。
あたためてあげたいけれど、叶わないようだ。
「安心しました。お前が血を飲んだと聞き」
「仕方なくです」
「それでも、飲まぬ時は頑なに飲まぬお前です。その子は、十夜の特別ですか?」