RUBY EYE
「俺達には、それが普通だ」
「比べる意味がないわ。私達とは、違う」
咎堕ちの命を躊躇いなく奪う自分達と月野は、違いすぎて比較にもならない。
「ダンピール、か。本当に、俺達を殺せるんだな」
秦はネクタイを緩め、シャツのボタンをいくつか外す。
「お嬢さんも心配だが、俺は坊ちゃんも心配だ」
気を失った月野を見る十夜の顔は、ひどく痛々しかった。
あんな十夜、見たことがない。
「・・・・・・あんた、泊まるの?」
「なんでだ?」
「泊まるなら、客間の準備をしないと」
エプロンを身につけ、椿は乱れた髪を整える。
「そう、だな」
グラスの水を飲み干し、秦は立ち上がる。
「今日は徹夜で掃除しないと」
玄関も2階の廊下も、血で赤く染め上げられている。
中庭は小野瀬が掃除しているが、他はまだそのままだ。
「忙しいんだろ? なら、客間の仕度はいらない」
「そういうわけにはいかないの。私の仕事なんだから」