RUBY EYE

「あの子が目を覚ましたら、話しておいて」


美鶴がいなくなると、十夜は再び部屋へ戻った。

月野はまだ、目覚めていない。


(両親の元へ・・・・・・)


それが一番安全だと、わかっている。

でも、帰ってしまえば、もう二度と会えないだろう。


「・・・・・・ん・・・・・・」

「・・・・・・月野?」


うっすら開いた月野の瞳。

十夜が呼ぶと、目が合う。


「綾織くん・・・・・・? 私・・・・・・!」

「急に起きるな」


起き上がろうとした月野を、十夜が優しく横たわらせる。


「私・・・・・・私・・・・・・!」


十夜の服の袖を掴んだ月野は、震えていた。

恐ろしいものでも見るかのように、自分の手を見つめている。


「月野・・・・・・」

「私が・・・・・・殺した・・・・・・」

「違う。お前は誰も殺してない」


それは事実で、十夜の本心でもある。


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