RUBY EYE
摩耶が喜々として話すと、嫌な予感しかしない。
「あの女を殺してくれるって、私に約束してくれたの」
「!」
十夜は唇を噛み、自身を責めた。
静貴はこれが狙いなのか?
わからない。
わからないが、自分が甘かったと後悔が押し寄せる。
「摩耶、鍵はどこにある?」
「鍵? ダメよ、十夜は私といるの」
「言ったはずだ。俺はお前を愛してない、と」
力強く言い放つが、摩耶は笑顔を崩さない。
「俺は、月野がいなくなったからといって、お前を愛したりしない」
「―――それでもいいの」
摩耶が、白いワンピースを脱いでいく。
生まれたままの姿は、彼女の美しさと妖しさを、余計に引き立てる。
「十夜が私を愛してなくても、私は十夜を愛してる」
狂うほどに一途な愛。
それは、時として同情を誘う悲劇の物語を綴る。
だが、ここには悲劇を演じるための舞台はない。