RUBY EYE
ざわめきを、一つの咳ばらいが静めた。
「美鶴殿に、私は賛同します」
「鷹幸様!?」
香堂側が、自分達の当主の言葉に動揺する。
「我ら【秩序】―――香堂は、なんの害も受けていない。ならば、美鶴殿にお任せする。これは、香堂家当主の意向であり決定だ。反論は受け付けない」
鷹幸はそれだけ言うと、時臣に笑いかけた。
次はお前の番だ、と言いたげに。
「・・・・・・我らは無関係とは言い難い」
十夜もまた、渦中の中心にいる。
そして、摩耶も。
「だが、我が息子は綾織家のために動いているわけではない」
「時臣様・・・・・・」
全員の視線が、時臣に集まる。
「勝手とわかっていますが、美鶴殿。あなたにすべてを一任したい」
時臣が、深く頭を垂れる。
それは当主としてか、ひとりの父親としてか。
「心得ました」
美鶴は凛とした雰囲気を崩さぬまま、微笑みを浮かべた。