RUBY EYE
だが、戦うのは自分達ではない。
あの無垢な孫娘が無事に帰ってくるのか。
「では、解散としよう」
時臣の言葉で、美鶴は静かに立ち上がる。
「美鶴様」
「待つことしか出来ぬというのも、歯痒いものですね」
死を待ち続けるよりも、時の流れが遅く感じる。
美鶴は小野瀬と共に、頭上の月を見上げた。
運命は変わる―――。
だから、信じて待つことが、今の自分の役目だ。
「伊織、帰りますよ」
「母さん・・・・・・でも・・・・・・」
躊躇う伊織に、美鶴が厳しい視線を向ける。
「早く立ちなさいっ」
「は、はい!」
素早く立ち上がる伊織を、美鶴は満足そうに見つめた。
「あ、あの!」
秦が、恐る恐る慧に声をかける。
「ん? 君は―――」
「如月 秦です。坊ちゃんの元へ行くなら、自分も・・・・・・」
本当は、話し掛けるのも緊張する。