RUBY EYE
狂った男が浮かべるのは、穏やかではない狂喜に満ちた笑顔。
「摩耶さんは、あなたに利用されて・・・・・・?」
「彼女は自分の意思で動いているよ。僕は、彼女の背中をちょっとだけ押したにすぎない」
月野は後ずさるが、静貴はすぐに距離を詰めてきた。
間近にあるのは中性的で、綺麗な顔。
「あなたの目的が、私にはわかりませんっ」
足がもつれ、床に倒れ込む月野。
抵抗のように口から出た言葉に、静貴は楽しげに笑う。
「目的なんてないよ。楽しめればいいんだ」
壊したい欲望。
それによって感じるのは、“今”を生きているという刹那的な悦楽。
「私には、わからない・・・・・・」
「理由が欲しいなら理由をあげるよ。君が満足する“理由”を」
悪魔のような囁きに、月野は息もできないような気分になる。
「でも、それは所詮、君が納得するための偽りだらけの中身のない“言い訳”だ。僕は理由なんていらない。“今”がすべてだ」