RUBY EYE

「御託はいい。終わらせましょう」


月野の血を纏ったナイフ。

考えが正しければ、このナイフでヴァンパイアを殺せるはず。


椿は、覚悟を決めた。

刺し違えても、なんて考えは胸に抱かない。

こんな男と燃え上がる教会で死ぬなんて、笑えもしない陳腐な三文芝居だ。


「・・・・・・ふふふ」


赤く染まる互いの瞳。

勝負は一瞬で決めなければ。


―――!!!


懐に飛び込んだのは、ほぼ同時。

ナイフが突き刺さる。


「グホ・・・・・・ッ」


静貴の苦しげな声に、自分の考えは正しかったと知る。

傷は、癒えていない。


(チッ、ズレた。心臓を狙ったのに)


椿の狙いを定めたナイフを、静貴はギリギリで躱した。

さすがと言うべきか。


「今、僕は生きてる・・・・・・」

「―――いいえ。今、あんたは死ぬのよ」


ナイフが刺さったまま、椿から離れる静貴。


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