RUBY EYE
その身を染めるのは、炎のような赤い血。
「あ、あはは・・・・・・痛い、痛いっ」
苦痛に歪みながらも、生を実感できる。
今、僕は生きてる―――。
哀れみさえ覚える命の灯火が、消えかかる。
「・・・・・・」
「椿!」
燃え落ちる柱が、頭上から降り注ぐ。
「・・・・・・秦。なんであんたが・・・・・・」
間一髪、秦が椿を引き寄せた。
柱は、静貴と椿を分かつ。
「静貴・・・・・・」
秦の瞳に映った静貴の最後は、狂った男とは思えない程、荘厳さに満ちていた。
「あはは・・・・・・あははっ」
痛みと熱さは、彼の心を満たした。
静貴が、炎に包まれて、見えなくなる。
「椿、出るぞ!」
「・・・・・・えぇ」
振り返っても、見えない。
もう一人の自分。
少し違えば、あの場に立っていたのは、静貴ではなく、自分だったのかもしれない。