RUBY EYE
わかりきった未来に夢を見れるほど、自分は子供じゃない。
かと言って、思いを断ち切れるほど、大人でもない。
「うるさいっ、うるさいっ。あんたなんか、死んじゃえばいいのよ!!」
「―――!」
振り下ろされる刀に、月野は目を瞑る。
しかし、いつまでたっても痛みは訪れない。
恐る恐る目を開けてみれば―――。
「離してっ!」
刀を奪おうとする十夜と、それを阻止しようとする摩耶。
「綾織くん・・・・・・」
十夜の瞳も、赤かった。
刀を奪い取った十夜は、月野に歩み寄る。
額に浮かぶ汗と乱れる呼吸が、彼の必死さを伝える。
「綾織くん、あの―――!」
言い終える前に、十夜が無言で月野に口づけた。
「ん・・・・・・!?」
深い口づけは、一瞬で終わり、十夜は力強く月野を抱きしめた。
「よかった、生きてる・・・・・・」
十夜の手は、震えていた。