RUBY EYE
十夜は、力強い声で告げる。
「俺は、お前を愛してない」
「違うわ。そんな言葉、聞きたくない! 違う違うっ」
狂った心は、茨の棘を持ちながら、硝子のように脆い。
摩耶は、壊れかかる心で、必死に十夜を見つめた。
「十夜・・・・・・愛してるの。本当よ?」
摩耶が伸ばした手から、十夜は身を引く。
この手を取ることは、もう二度とない。
「・・・・・・あんたさえ・・・・・・あんたさえいなければッ」
「!」
殺意に満ちた目が、月野を捉らえる。
身を硬くする月野に、摩耶が素早く襲いかかった。
「キャア!」
悲鳴を上げたのは、摩耶だった。
十夜は、刀で容赦なく摩耶の腕を切り付けた。
「痛いわ、十夜」
すぐに癒えるが、傷を負えば痛みを感じる。
「十夜が私を攻撃するなんて・・・・・・。その女が、何か十夜に命令してるの? そうよね! 十夜が私を傷つけるはず、ないもの」